皆様こんにちは。
小金井つるかめクリニックの院長の石橋史明と申します。
今年(2019年)の4月に当院の院長に着任し、外来や健診部門の様々な改革にチャレンジしていますが、その一環でホームページもリニューアルしました。今後はこのホームページを利用して、ブログ形式で様々な情報を発信してまいりますのでよろしくお願いいたします。
皆様にお伝えしたい情報は、
① クリニック内で新しく導入した検査のご案内
② クリニックに新しく着任された先生のご紹介
③ クリニック発の様々な研究成果のご報告
④ 最新の医学論文の内容をわかりやすく解説
などになります。
できるだけコンスタントに情報を発信してまいりますので、たまにブログを覗いて頂ければ幸いです。
さて、ご挨拶の他に本日は早速もう一つご報告をいたします。
当クリニックでの早期胃がんに関する研究成果が、国際科学誌に掲載されました
胃がんは発見されるのが早いか遅いかで「早期胃がん」か「進行胃がん」に分けられます。当ホームページの内視鏡センターのご案内の中でも言及していますが、健診で見つかる胃がんのほとんどは早期胃がんであり、裏を返すと、我々内視鏡医としては、いかに早期の段階で胃がんを見つけられるかが腕の見せ所です。
皆様は早期胃がんというと、どのようなものを想像されますか?
早期胃がんのほとんどはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が感染した胃に発生します。実際に当院でここ2年間にみつかった早期胃がんの解析により、ピロリ菌陽性の胃に発生する確率が高いことが分かっています。また、ピロリ菌を除菌することで胃がんの発生頻度を格段に減らすことができる、ということも多くの研究で示されており、当院でも同様のデータを有しています。このデータについては、今後改めて本ブログでご紹介いたします。
一方で、最近はピロリ菌が全く感染したことのない「きれいな胃」にも非常に稀に早期胃がんが発生することが分かってきました。
このような稀なタイプの早期胃がんに、「胃底腺型胃がん」というものがあります。
(健診で指摘される可能性のある「胃底腺ポリープ」とは違うものです。)
胃底腺型胃がんは、ピロリ菌が全く感染したことのない胃にも発生しますし、ピロリ菌の除菌が成功した後の胃にも発生しますが、あまりに症例数が少ないため、内視鏡医もどのような見た目をしているのかよく分かっていないというのが実状でした。
当クリニックではこれまで数例の胃底腺型胃がんを健診で発見してきましたが、見つけた胃底腺型胃がんを提携する東京医科歯科大学で内視鏡手術で切除してもらい、切除した病変と内視鏡像を詳細に比較検討しました。その結果、ピロリ菌が全く感染したことのない胃に発生した胃底腺型胃がんと、除菌後に発生した胃底腺型胃がんでは、「NBI」(注)という特殊光を用いた内視鏡検査を行うことで正確な診断が可能になることを明らかにしました。
(注)NBIについてはまた改めて本ブログで解説いたします。
本研究は、国際科学誌「Journal of Gastric Cancer」(impact factor: 1.787)に掲載されました。
Influence of Helicobacter pylori Infection on Endoscopic Findings of Gastric Adenocarcinoma of the Fundic Gland Type
https://jgc-online.org/Synapse/Data/PDFData/1100JGC/jgc-19-225.pdf
ピロリ菌に全く感染したことがない、あるいはピロリ菌がいなくなった胃粘膜でも、この胃底腺型胃がんに代表されるような注意を要する病変が発生することもあり、やはり定期的な胃カメラ検査は必要であると言えるでしょう。
同時に、我々内視鏡医としても、このような稀な早期胃がんが存在する、ということを常に頭に置きながら検査をする必要があります。
皆様、是非定期的に健診を受けていただき、ご自身の健康を守っていきましょう。