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大腸ポリープ切除術の適応とは

皆さまこんにちは、小金井つるかめクリニック院長の石橋です。

 

今回は大腸ポリープについてお話したいと思います。

 

健診や外来で大腸内視鏡を受けていただくと、検査中に検査医から以下のようなことを言われると思います。

 

「大腸ポリープがあるので切除しましょう」

「大腸ポリープがありますが小さいので様子をみましょう」

「これは様子をみていても大丈夫なタイプのポリープです」

 

さて、どのような基準で大腸ポリープを切除するか、あるいは様子をみるか決めているのでしょうか。

 

ポリープを切除するかしないかは「組織病理」の予測結果次第

 

一言で説明しますと、病理結果が腫瘍と予測されるものは切除します。腫瘍とは、正常の大腸粘膜から発生する「自律的に増殖を続ける細胞の塊で、大腸の組織を模倣するもの」です。

 

と言うと分かりづらいのですが、要は盛り上がるなりへこむなり横方向に広がるなり、もともとの大腸粘膜の構造を逸脱して増殖してしまった組織のことです。

 

一般にポリープと呼ばれるものは盛り上がった構造をしているものを指すと思いますが、大腸ポリープの場合は必ずしもそうではなく、横方向にほぼ平らな状態で広がるものや、逆に陥凹するタイプなどが含まれます。

 

これらの大腸ポリープには、「腫瘍性」のものと「非腫瘍性」のものが含まれます。

 

非腫瘍性のポリープはただ単になんらかの刺激で大腸粘膜が過形成という変化を起こし粘膜面が盛り上がるもので、これは腫瘍ではありませんので原則癌化することはありません。この点で、「腫瘍性」と「非腫瘍性」のどちらのポリープであるかを事前に予測することが非常に重要な訳ですが、ここが内視鏡医の腕の見せ所です。

 

「陥凹型ポリープ」は癌が含まれるため注意が必要

 

まず見た目が陥凹したポリープ(陥凹型)のポリープはほぼ全例が腫瘍性ポリープであり、特にこのタイプのポリープには小さくても癌化するものが含まれることがあるなど注意が必要です。

 

私が以前修行していた昭和大学横浜市北部病院の工藤進英先生が世に広められた概念でもあり、盛り上がるタイプのポリープよりも発見が難しいことから、我々内視鏡医も常にその存在に気をつけながら検査をしています。

 

当施設での自験例を供覧します。

これは大腸内視鏡画像の一コマです。さて、病変はどこにあるでしょうか?非常にわかりづらいですね。青色の色素を撒いてみるとよく分かります。

 

周りの粘膜に比べて陥凹しているタイプの「陥凹型ポリープ」であることが分かります。近づいて見ているので大きく見えますが、実際には5mm程度の非常に小さなポリープで、気をつけていないと見過ごすリスクが非常に高い病変です。この病変はその場で切除した結果、「腺腫(せんしゅ)」というタイプの良性腫瘍でした。

 

これに対して、盛り上がったタイプ(隆起型)と平たいタイプ(平坦型)のポリープは必ずしも腫瘍性ポリープではなく、非腫瘍性ポリープが含まれます。

 

では、隆起型・平坦型ポリープが腫瘍性であるか否かはどうやって見極めているのでしょうか。

 

隆起型・平坦型ポリープの診断にはNBI併用拡大内視鏡が有用

 

通常の内視鏡でもある程度診断はできますが、以前の当院の成績ですと、およその正診率(腫瘍性のポリープを正しく腫瘍性であると診断できた確率)は80-90%程度です。内視鏡の熟練度にもよりますが、全国の施設でもほぼ同等の成績と考えます。

 

裏を返すと、残りの10%程度のポリープは正しく診断されないため放置されてしまうか、非腫瘍性のポリープを腫瘍性と誤診して切除してしまうケースなどが混在することになります。こういった例は限りなくゼロに近い方がよいのですが、近年普及してきた「NBI併用拡大観察」という観察法が可能な内視鏡が有効であることが証明されてきています。

 

NBIとは「Narrow band imaging」の略で、日本語にすると狭帯域光強調画像のことで、「拡大観察」という技術を併用することでポリープの表面を詳細に観察することができます。

 

NBIおよび拡大観察については、次回詳細にご説明します。

 

内視鏡センターのページはこちらです。


まとめ

 

ü  大腸ポリープには切除しなければならない「腫瘍性ポリープ」と、放置してよい「非腫瘍性ポリープ」がある。

ü  大腸ポリープの形態と表面の構造次第で、「その場で」切除するかしないかを決定する。

ü  表面構造の診断には「NBI併用拡大観察」が有用である(次回ご説明します)。

 

 

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