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内視鏡検査の際に有効なツール「NBI」

皆さまこんにちは、小金井つるかめクリニック院長の石橋です。

 

今回は前回の内容の続きで、「NBI観察」というものについてご説明いたします。

 

 

NBIを用いることで血管の構造が見やすくなる

 

NBIとは、「Narrow Band Imaging」の頭文字をとった略称で、日本語に訳すと「狭帯域光観察」というものです。

 

ものを見る際、物体に光を照射しその吸収の程度で人はものを認識しています。通常屋外であれば日光ですが、屋内では蛍光灯や白熱灯のもとではものの見え方が変わりますよね。それは、光源となるものが発する光の種類が違うため、物体が吸収する光の種類も異なってくるためです。

 

光が波である、とうことはご存知だと思いますが、光の種類とは、どの帯域(波長)の光か、ということです。赤外線や紫外線は波長が極端に短いものや長いものに区分されています。

 

NBIは、このうちごく限った範囲(狭帯域)の波長として、390〜445nm(ナノメートル)と530〜550nmの2種類の光を用いて、特定の物体を視認しやすくしたシステムのことです。

 

この2種類の波長は血管の中を流れる赤血球によく吸収されることがわかっており、NBIを用いると血管を視認しやすくなります。つまり、NBIは通常の内視鏡検査の際に、より血管を強調するモードである、と言えます。

 

では、内視鏡検査時にNBIを用いる際、有用な場面とはどのようなときでしょうか。

 

早期(表在)食道がんの発見にはNBIが有用

 

食道がんは早期に診断ができれば、内視鏡手術(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)で治癒が可能な疾患です(ESDについては次回ご説明いたします)。

 

逆に、進行した食道がんは今なお根治が難しい場合も多く、外科手術や抗がん剤化学療法、放射線照射療法などの組み合わせが必要となります。胃がんや大腸がんに比べ、浸潤の程度が浅くてもリンパ節に転移するケースも多く、いかにより早期の状態で食道がんを見つけられるかが重要です。

 

ただし、早期の食道がんは、ごくわずかな色調変化(発赤)しか来さないこともあり、普通の内視鏡検査では見逃すリスクも高く、早期の診断には難渋してきました。この課題の解決法として、NBIの有効性が報告されてきました。

 

早期の食道がんは、表面に多数の腫瘍血管がありますので、周囲の正常粘膜よりも血管の密度が上昇し、NBIを用いることで密集した血管の部位を同定しやすくなるのです。

 

当施設での自験例を供覧します。

 

左の写真が通常の内視鏡検査、右の写真がNBI観察による画像です。

 

病変はそれぞれの画像の左側の小さな領域にあります。通常の内視鏡検査ではごくわずかに赤く変化していますが、NBIで見てみると茶色い変化がよく分かりますね。通常の内視鏡検査のみでは見落としてしまう可能性のある、非常に分かりづらく小さな病変です。

 

この症例は早期(表在)食道がんで、提携する高次医療施設で内視鏡手術(ESD)を行っていただき治癒しました。

 

当施設では、健診を含むすべての内視鏡検査で食道をNBIで見ることを徹底しており、早期(表在)食道がんの発見に尽力しています。

 

また、NBIは食道の観察だけでなく、胃や大腸の病変の観察にも有効であることが報告されています。

 

早期胃がんの種類を見分けるためにNBI併用拡大観察が有用

 

NBIは、食道がんを探すときのように「どこに病変があるのか」探すとき、すなわち「存在診断」のために有効であるだけでなく、「そこにある病変がどのような病気なのか」判定するための「質的診断」にも有効です。特に胃がんと大腸がんにおいては、NBI観察と「拡大観察」という技術を組み合わせることで質的診断の精度が飛躍的に向上することが分かってきました。

 

今回は胃がんに限って「NBI併用拡大観察」の技術をご紹介しますが、大腸がんについてはまた後日ご説明いたします。

 

NBI併用拡大観察は、NBIの条件にした上で、最大85倍まで倍率を上げることで、病変を詳細に観察する技術です。拡大しない条件でもNBIを用いることで血管が密集しているかどうかまでは分かりますが、拡大することで、一本一本の血管の構造の違いまで見ることができます。腫瘍の種類によってこの血管構造に違いが出ることが分かっており、NBI併用拡大観察を行うことで、病変の種類を予測する「仮想生検」が可能となります。

 

前々回のブログでもご紹介いたしましたが、当院での研究の成果の一つですが、私どもは「胃底腺型胃がん」という特殊なタイプの胃がんのうち、ピロリ菌に感染した胃粘膜に発生したものは、NBI併用拡大観察で極めて特徴的な「枯れ枝状の血管構造」が視認されることを明らかにしました。研究成果は国際科学誌Journal of Gastric Cancerに掲載されました。

 

https://www.jgc-online.org/search.php?where=aview&id=10.5230/jgc.2019.19.e21&code=1100JGC&vmode=FULL

 

論文より代表的な写真を転載します。

 

左の写真は通常の内視鏡画像です。写真の中央に5mm程度の病変があります。この一部分に対してNBI併用拡大観察を用いることで、右の写真のように詳細に一本一本の血管構造を判定することができるのです。この茶色い線の一本一本が腫瘍血管です。

 

まとめ

 

・  早期(表在)食道がんの存在診断にはNBIが有用である。

・  早期胃がんの質的診断にはNBI併用拡大観察が有用である。

・  早期大腸がんの質的診断にもNBI併用拡大観察は有用である(次回以降ご説明します)。

 

 

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