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内視鏡治療の種類 その3〜当院の実績から見えるコールドスネポリペクトミーの有用性〜

皆さまこんにちは、小金井つるかめクリニック院長の石橋です。

 

今回は前回の内容の続きで、内視鏡治療方法のうち、Cold snare polypectomy(コールド・スネア・ポリペクトミー)の有用性について、当院の実績を交えながらご説明いたします。

 

なお、本ブログのコンセプトは「最新の医療ネタを分かりやすく解説する」ためのものですが、専門用語が数多く含まれます。医療関係者の方でなくとも理解できるように努めてはいますが、用語が多少難解であったり、そもそも扱うテーマが非常にマニアックです。この点をご容赦いただけますと幸いです。

 

コールドスネアポリペクトミー(CSP)の方法(おさらい)

 

前回と前々回にご説明した通り、現在主流となっている大腸病変の内視鏡手術の方法は3種類(EMR、ESD、CSP)です。このうち、CSPはEMRとは異なり、局注を必要とせず、かつ通電を行わずに切除を行う手法であり、治療時間が短くかつ安全性が高いという利点があることをご説明しました。

 

一方で、CSPは粘膜表層しか切除できないので、浸潤がんを疑う病変や、サイズの大きな病変に対する治療としては適さないことがEMRに劣る点です。

 

それでは、当院の実績をもとに詳しくご説明していきます。

 

当院の大腸ポリープに対する内視鏡治療の実績

 
今年度(2019年4月〜12月)の当院「小金井つるかめクリニック」と系列の「新宿つるかめクリニック」の実績を合わせたものをお示しします。

まず用語の補足をさせていただきます。これまでの説明で出てきていない用語で、表中にCFPという用語が出てきます。

 

CFPとはコールド・フォアセプス・ポリペクトミーの略で、小さなポリープに対して鉗子(ハサミのような器具)を用いて切除する手法です。こちらも代表的な内視鏡手術方法の一つですが、CSPやEMRと異なり、スネアという輪っかのような器具は用いません。鉗子で把持してそのまま切り取ってくるので、極めて短時間で処置が可能ですが、鉗子を開いたときの大きさがせいぜい4-5mm程度ですから、原理的に小さなポリープの切除しかできないことになります。実際、CFPが行われたポリープのうち大部分(85.2%)が5mm未満のポリープでした。

 

また、上の表を見ていただくと、全手術件数2391件のうち、約半数の1285件は5mm未満の小さなポリープであることがわかります。以前のブログ(2019年9月)でもお話した通り、5mm未満の小さなポリープでも悪性度の高い病変であることがあり、小さな病変でも見逃さないことの重要性は強調しました。一方で、小さなポリープ全てを切除する必要があるかどうかはまだ議論の余地があるところで、これについてはまた今後詳しくご説明したいと思います。

 

さて、CSPの利点は小さな病変を安全に切除できることにある、とご説明しましたが、ポリープのサイズによってどのような治療が実際に選択されているのでしょうか。

 

上のデータを紐解くと、10mm未満のポリープに対してはEMRよりもCSPが選ばれていることがわかります(EMR 4.9% vs CSP 51.0%)。一方で、10mm以上の大きなポリープに対しては、逆にCSPよりもEMRが選ばれていることがわかります(EMR 67.2% vs CSP 32.8%)。

 

10mm未満のポリープであえてEMRが選ばれているのは、見た目で大腸がんの可能性を疑う場合がほとんどです(「小さな大腸がん」というテーマについてはまた回を改めてご説明します)。

 

次に、CSPの利点である安全性について考えてみたいと思います。

 

前回のブログで簡単にご説明しましたが、大腸ポリープ切除術で最も頻度の高い合併症は、「後出血」です。後出血とは、ポリープ切除後に時間差をもって切除部位から出血を起こすことです。しばしば大量に出血し、貧血などの原因になることもあり危険な合併症ですが、早期に再度内視鏡を挿入して局所の止血処置を行うことで治療も可能です。

 

当院で止血処置を要する後出血があったのは、CSPは0件(0%)、EMRは3件(1.53%)でした。全体で0.13%というのは、全国の各施設からの報告が0.5〜1%前後であることを考えると、比較的良好な成績と言えます。

 

重要なことは、上記のデータは2施設で合計18名の内視鏡専門医によって治療された病変を対象にしていますので、少数の医師の個人的な嗜好や癖によるものではなく、内視鏡専門施設における標準化されたデータである、という点です。すなわち、内視鏡専門施設においてはCSPの利点である小さな病変を安全に切除できるということを実臨床で実践できている、ということになります。

 

大腸ポリープはどのくらいの頻度で見つかるのか?

 

ところで、上の表をみるといかにも多くの大腸ポリープが見つかっていそうですが、実際のところ大腸ポリープは何人に1人見つかるのでしょうか。

 

当院で2019年4月から12月までに検査した方が3894人、うちポリープが見つかった方が1620人(41.6%)でした。

 

ここで疑問があります。

 

・「ポリープが見つかった方=41.6%」この数が多いのか少ないのか(他施設や他国のデータはどうなのか)

・ポリープといっても様々な種類があるが、種類によって見つかる割合が異なるのか

・ポリープが見つかりやすい人とは、どういう人なのか

 

次回は、上記の疑問についてお答えする形で当院のデータをさらに解析したものを提示し、世界中でこれまでに報告されているデータとの比較を行なっていきたいと思います。

 

内視鏡センターのページはこちらです。


まとめ

 

*10mm未満の大腸ポリープに対してはEMRよりもCSPが選ばれる傾向がある(見た目で大腸がんを疑う場合を除く)。

*CSPは後出血率が低く安全な内視鏡手術方法である(当院では後出血率=0%)。

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