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潰瘍性大腸炎の治療薬 ステロイド剤について

皆様こんにちは。小金井つるかめクリニック 消化器内科の川上智寛です。

 

前回は潰瘍性大腸炎(UC)の治療(5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤))について解説しました。今回は5-ASA製剤では寛解(=病気の症状が治療により消失した状態)にもちこむことが難しい症例で第一選択となる「ステロイド剤」についてご説明いたします。

 

治癒と寛解の違い、寛解導入と寛解維持の違い

以前のブログでもご説明しましたが、潰瘍性大腸炎において治癒(=病気が完全に治る)を目指すことは今現在できないため、治療の介入によって寛解をめざし、寛解を長期にわたって維持していくことが必要になります。

 

寛解を維持し、「粘膜のただれ」がなくなった”粘膜治癒”を達成できると再び症状がでてくる再燃を起こしにくくなると言われています。

 

用語の解説として・・・

 寛解導入:症状がない状態までもちこむこと

 寛解維持:症状がない状態をつづけていくこと

ステロイド剤の副作用

ステロイド薬は強い抗アレルギー・抗炎症作用をもち、自己免疫性疾患やアレルギー性疾患の治療に必要不可欠な薬剤です。

 

その歴史は古く1950年にノーベル賞を受賞したヘンチ、ケンダル、ライヒシュタインが発見・抽出し、関節リウマチに対して著効した事実以降、広く使われるようになりました。すでに半世紀以上の使用実績がある薬剤になります。

 

代表的な副作用

高血糖・高血圧、にきび・多毛、食欲増進、不眠

感染症にかかりやすくなる、満月様顔貌(顔が丸みをおびる)
骨粗しょう症、白内障 
                       などなど。


挙げればきりがないくらい多くの副作用がわかっています。

 

すごくよく効くいい薬なのですが、特に“長期”に“大量”に使用すると上記の副作用が問題になります。

 

副作用のことだけが注目されて「使ってはいけないクスリ」としてメディアなどでも取り上げられることも多く、患者さんから「使いたくないです」といわれやすい薬剤です。上手に使うことで副作用を最小限にして、活動期の症状を速やかにコントロールすることが可能な薬剤になります。

 

ちなみに…。こういった副作用は内服や点滴などで全身に効く形で投与された場合に起こります。ですから、皮膚科などで処方される「塗り薬(外用薬)」は局所的にしか作用せず、全身の副作用が起こることはほとんどありませんのでご理解ください。

 

ステロイド剤による治療の対象となる方

前回とりあげた5ASA製剤では活動性をコントロールできないとき、次にステロイドの出番になります。基本的には中等症~重症の患者さんが対象になります。

 

外来では多くの場合プレドニゾロン20mg~40mg/日の経口投与を行います。重症例で入院を要する場合はそれよりも多い用量を使用することもあります。ステロイドが効きにくいタイプの方もいるため、治療開始後1-2週間で効果判定を行い、効果をみながら、ステロイドを減量していずれ中止していきます。

 

寛解導入の有効率は報告にもよりますが、60-70%といわれています。

 

寛解を維持していくための効果はステロイドにはないため、漫然とステロイドを使用することは望ましいことではありません。「ここぞ!!」というところでしっかりした量を使用し、効果判定しつつできるだけ短期間の使用に留める!というのが、副作用を少なく効果を十分に得られる方法だと感じています。

 

薬の減量ペースについても個々の症例に応じて判断することになりますが、ステロイドの使用が数か月必要になる場合は、骨粗しょう症予防の薬を併用しながら治療することも必要です。

 

 

ステロイド剤による治療が効きづらいケース

    1. ①  多い量のステロイドでは効果があったが、減量とともに再燃する→ステロイド依存例

      ②  適正な量のステロイドを使用したにもかかわらず、効果が不十分→ステロイド抵抗例

       

      上記の①・②の場合は“難治”例として、他の薬剤・治療の追加や薬剤の切り替えを考慮することになります。難治例の治療については次回以降にお話しします。

       

消化器内科のページはこちらです。


まとめ

    • * ステロイドは長年使用されている、とてもよく効く薬剤である。

    • * 寛解導入には効果があるが、寛解維持の効果はないため、総使用量に応じてでてくる副作用のリスクを考え、漫然と長期に使用することはない。

    * そういった場合はほかの薬剤・治療への追加や切り替えが必要になる。

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