2020年度の小金井つるかめクリニックの内視鏡センター実績報告

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2020年度の小金井つるかめクリニックの内視鏡センター実績報告

皆さまこんにちは、小金井つるかめクリニック院長の石橋です。

 

今回は2020年度の内視鏡検査実績の報告をしたいと思います。20214月からは、本ブログで炎症性腸疾患について連載をしている川上智寛先生に内視鏡センター長に就任頂き、内視鏡センターをさらに発展させていきたいと考えており、今後の展望についても触れたいと思います。

 

2020年度の内視鏡件数

当院は多摩地区随一の件数の内視鏡検査を行う内視鏡センターを有しており、系列の新宿つるかめクリニックの消化器病センターと合わせると、2019年度は年間35,000件超の内視鏡検査を行っておりましたが、2020年度はさらに件数を伸ばし、38,000件に達しました。特に小金井つるかめクリニックでは、2019年度の9,422件から2020年度は10,813件と大きく件数を伸ばすことができました。

2020年度の内視鏡件数

内訳でみると、私が院長して着任した2019年度から、大腸内視鏡の件数が2倍以上に増えました。

 

昨年もお伝えした内容ですが、大腸がんは年々罹患率が増加している一方、早期に発見できれば、内視鏡治療という極めて低侵襲な治療で治癒可能な病気です。場合によっては、内視鏡検査の最中にたまたま見つかった早期大腸がんを、その場で治療して治癒させることすら可能です。

 

2019.9.19のブログで、大腸ポリープには治療が必要なものとそうでないものがあり、特に腺腫性ポリープを内視鏡の見た目で事前に診断し、見落としなく治療することが重要であるとご説明しました。すなわち、腺腫性ポリープ同定率(ADR)が検査の質の評価基準になります(2020.2.17のブログ)。さらに解釈を広げると、大腸ポリープの切除件数そのものが、施設としての一つの評価基準と言えます。

 

大腸ポリープ切除術件数

当院での大腸ポリープ切除件数の結果です。

 

大腸ポリープ切除術件数

大腸内視鏡の実施件数は2018年度から2倍に増加しましたが、2019年度から引き続き2020年度は検査医師の教育をさらに徹底し、病変の見落としがないように検査の質の向上に努めました。

 

具体的に取り組んだことは2点です。

 

まず、内視鏡検査結果を医師個別にフィードバックし、大腸内視鏡検査中の時間経過をリアルタイムにモニターすることで、ADRを向上できることを報告しましたが(2020.11.2のブログ)、当院では全検査でこの取り組みを行いました。

 

また、大腸内視鏡の挿入法に関して、軸保持短縮法による挿入法を徹底しました。軸保持短縮法による挿入が検査の質の向上につながることは当院のデータでお示ししましたが(2020.12.7のブログ)、この内容について現在より大きなデータをまとめており、今後学会や論文で報告の予定です。

 

また、切除しなければならない大腸ポリープの発見率についても公開しています。2020.2.17のブログをご覧ください。

 

以下に、2020年度の大腸内視鏡検査のデータの集計をお示しします。

 

  • ・内視鏡検査件数:1454件

    ・大腸ポリープ同定率(PDR):48.6%(704件)

    ・腺腫性ポリープ同定率(ADR):37.0%(536件)

    ・高異型腺腫性ポリープ同定率(AADR):5.9%(85件)

    ・大腸早期がん同定率:0.8%(11件)

    ・大腸進行がん同定率:0.6%(8件)

     

大腸内視鏡検査を担当した3名の医師の合計(平均)のデータになりますが、この中で特にADR37.0%と高水準を維持できていました。米国消化器内視鏡学会の勧告では、ADR≧25%であることが検査医師に求められる水準の一つであり、当院は3名の検査医師いずれもこの水準に達していました。

 

さて、見つけたポリープの中には大腸早期がんの診断であったものが11件(0.8%)ありました。1000人に8人ですから、それほど少なくない頻度で早期大腸がんが見つかります。さらに、進行がんの見つかった症例は8件(0.6%)あり、大腸がんがいかに頻度の高い疾患であるかが分かります。

 

消化器がん発見数

内視鏡検査の最終的な目標は、「がんによる死亡を減らすこと」です。そのためには、どれだけ早期がんを発見できたかが重要です。当院での消化器がん発見数の結果を示します。

消化器がん発見数

進行がんの診断件数は年度によってそれほど変化はありませんが、早期がんの診断件数は年々増加しており、2020年度には食道・胃・大腸をあわせて早期がんは35件発見されました。次に、早期がんの詳細な内訳を年度別にお示しします。

 

食道の病変は年度によってばらつきがあります。また、早期胃がんは2017年から2018年をピークにやや減少に転じています。一方で、早期大腸がんは、年々増加傾向にあることが分かります。

 

昨年も述べたのですが、胃がんの原因がピロリ菌であることから、ピロリ菌の除菌療法が普及するにつれて胃がんの数自体は今後も減少していくことが予想されます。

 

それに対し、大腸がんは発がんの正確な原因が解明されておらず、大腸がんの数が減少する理由はありません。それどころか、統計的には増加の一途をたどっており、いかに早く診断できるかが重要です。

 

大腸がんの早期診断のためには、一定の年齢になったらまずはスクリーニングのための大腸内視鏡検査を受けていただくことが重要です。次回以降のブログでは、大腸内視鏡検査のスクリーニング開始時期について、最新の知見をもとにご紹介したいと思います。

 

内視鏡センターのページはこちらです。

まとめ

  • * 大腸がんの発見数は年々増加しており、早期発見のためには大腸内視鏡検査を受けることが重要です。

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